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どこへ行くのか
興味は持ちつつ、買い逃していた、角川書店の小説版「人造人間キカイダー」を、先頃友人から借り受け、読みました(借り物なので、写真は撮ってません)

結論から言えば、大変面白く、楽しむことができました。

講談社の“小説・仮面ライダー”のシリーズが、平成仮面ライダーを元に、各作品を担当した脚本家やプロデューサーが書き下ろした、続編や番外編、パラレルストーリーだったのに対し、この小説版キカイダーは、プロの小説家である松岡圭祐氏の手により、主にオリジナルの特撮ドラマ版を元に、新解釈や緻密なSF考証で、再構築したものになってます。

そういう意味では、和智正喜氏の「仮面ライダー1971〜1973」に類するものとも言えますが、こちらはタイトル通り、実際に元祖仮面ライダーが放送されていた、71年〜73年を舞台に、当時の出来事や世相、社会背景を交え、新解釈、再構築されたものだったのに対し、「キカイダー」の方は、舞台を2013年の現代に移した、現在の物語として描かれてることが、大きく異なる部分でしょう。

どちらがどう、というのではなく(勿論、出版社や編集者の意向はあるだろうけど)同じ“70年代(石ノ森)特撮ヒーロー”を、新たな解釈で小説化したものでも、その描写や方向性、作家性の違いを楽しむのも、なかなか乙なものです。

ただ双方とも、オリジナルのキャラクターや物語を、非常に大切にし、元の作品に対する愛情や敬意が強く感じられるという点は共通しており、それに関しては安心して読むことができました。



さてその「小説・キカイダー」ですが、ストーリーに関わる部分や、重要なネタバレになりそうな部分は控えますが、前述のように、オリジナルのキャラクターや物語を尊重しつつ、各設定の新解釈や、その緻密な描写は、非常によく練り込まれています。

例えば、キカイダーが左右非対称な理由や、良心回路の役割、ジローの姿になるための機能の設定等々は、如何にも現代的な解釈で、今の若い世代も納得できるのではないでしょうか?

この、左右非対称な理由とうのが、クライマックスで“生かされる”辺りは、おもわず「おお…」となってしまった(笑)

キカイダーだけでなく、何故アンドロイド達が“人間”に憧れるのか、人間と仮想生命(この表現は好き)の違いはなんなのか・・・

ひとりのアンドロイドマンの目を通した一連の描写は、ある意味一番“感情移入”してしまう部分かもしれません。

グレイサイキングや、グリーンマンティスといった、ダーク破壊部隊の面々は言うまでもなく、ハカイダーは勿論、“ビジンダー”まで登場します。

特筆するのはそのビジンダーで、一応変身はするものの、作中では終止“マリ”と呼ばれてますが、“次の展開”を感じさせるような、ある意味非常に重要な位置にいるキャラクターとして描かれています。

ミツコやマサルに服部半平、光明寺博士やギルといった、人間側のキャラクターも、オリジナルを尊重しつつも、現代的なキャラ付けがされ、非常に魅力的に描かれてると言えるでしょう。

ただ、ギルに関しては、殆ど“あのまんま”なイメージで、安藤三男さんの“あの顔”しか浮かんでこなく、夢に見そうな強烈なインパクト!

元々この小説、今年公開予定の“映画版”を想定して書かれたものだそうで、その映画のストーリーを元に書かれたものなのか、或いはこの小説を元にして映画が作られるのかは、現時点では不明なんですが、現在の日本の映画界、特撮界の実情を考えれば、どこまで“映像化”できるのかは、正直不安ではあります(^^;

ただ、個人的にここだけは、他を置いても、是非映像化を実現してほしいのは・・・

ミツコさんのキュアハートのコスプレ!

自分の中では、ミツコさんと言えば水ノ江じゅんさんで、頭の中にはキュアハートのコスプレしてる水ノ江じゅんさんしか浮かんでこなくて困ったんですが・・・(^^;

映画版で、ミツコさんを演じるのがどなたなのかは分かりませんが、ここは是非外さないでほしいなぁと(笑)

あと、ラストシーンは、オリジナルのTV版をご存知の方なら、頭の中に「ど〜こへ行く〜のか〜、ただひと〜り〜♪」という、子門真人の歌声が流れてくるようなものになってますので、その辺りにも注目していただければと。

そんな訳で、キカイダーが好きな人は勿論、アンドロイド物のSF小説が好きな方なども、とても楽しめるものになってますので、未読の方は、是非ご一読を。

人造人間キカイダー The Novel (角川文庫)

松岡 圭祐 / 角川書店


by yaskazu | 2014-01-13 23:44 | 日々の戯れ言 | Trackback | Comments(0)
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