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侍戦隊シンケンジャー 第四十七幕「絆」
今回はもう30分の中にもの凄い濃密な内容がギッシリ詰まっていて、正に最初から最後までクライマックス状態。

前振りはいらねぇって事で、さっそく本題。



>丈瑠VS十蔵.參回戦
これまでの事は嘘だけではない、今まで築いてきた絆は本物の筈だという爺の言葉も、それでも嘘は嘘でしかないと、ますます負の思考に陥って行く丈瑠。

この辺りの丈瑠にはちょっとイラッとくるものがあるんですが、丈瑠も爺の言わんとする事は十分理解出来るし、何よりも自分自身がみんなとの絆は誰よりも強く身に染みている。
だからこそ、そんなみんなを結果的とは言え、騙し続けていた自分が許せない訳で、その心情も理解出来る。

けどそれは十蔵の思惑通りで、剣に生きるものの唯一の嘘なき真実は、戦う事、斬り合う事、そして相手を倒す事だという、十蔵のいうところの“究極の快楽”に陥ってしまう事も意味している。

このときの丈瑠は、正に十蔵と同じになりかけていたのかも知れません。

>侍として悔い無きように
侍としての勤めと丈瑠への想い(←想いって言い方はちょっとアレなんだが、後のセリフとセットで考えると・・・(笑))の狭間で、フリーズ状態になってしまってる流ノ介の本心をちゃんと理解し、自分が本当はどうしたいのかを気付かせ、後押しするのが“黒子”の朔太郎さん。

あの時、道を見失っていた自分に、自分がやるべき事を思い出させ、再び黒子となって侍達と共に戦う決意をさせてくれたのが他ならぬ流ノ介だったから、かつての自分と同じ状態に陥ってる彼の背中を、今押す役目ができるのは、この人しかいないんですね。
黒子が正体明かしちゃうのはどうかなって気も少ししたんですが、ああしなければ流ノ介奮い立たす事は出来なかったろうし、それもまた侍達を影から支える意味で、立派に黒子の役目を果たす事ですもんね。

この朔太郎さん、とても味のあるいいキャラだったから、いつか再登場するんじゃないかと思ってたんですが、こういう局面で登場させる辺りは、本当に心憎いですよ靖子にゃん!(^^)

>丈瑠VS十蔵.決着、二百年の真実
丈瑠の、確かに手応えのあった筈の一閃でも、まだ生きている十蔵。
それを突き動かししているのは、不死身の身体だけではなく、剣を振るう事、戦う事、人を斬る事そのものに快楽を求めるという、二百年間追い求めてきた究極の欲望。

正に外道そのものな、その飽くなき執念にさすがの丈瑠も怯んでいる様子でしたが、もしあのままいけば丈瑠も十蔵の闇に呑み込まれ、外道と化していたかも知れません。
それを呼びとどめ、引き戻したのが、駆けつけてきた千秋達の声と、みんなとの絆。
そしてそれこそが、丈瑠にとっての真実。

対し、尚も二百年の欲望を追い求めようとする十蔵を止めたのは、自分がその欲望のために斬り殺し、愛刀裏正に姿を変えた十蔵の妻。
このシーン、ちょっと分かりづらいんですが、丈瑠が十蔵を幹竹割りにする直前、跳ね上げた裏正が宙を舞って十蔵の足元に落ちてくるシーンがあり、多分この時既に裏正は十蔵の足を貫いてたんでしょうね。

自らが斬り殺した妻が脚に縋って十蔵の歩みを止めようとする幻影を見た後、足の甲に突き刺さった裏正を抜ことしてもどうしても抜けない・・・この時、初めて十蔵は裏正に姿を変えた妻の真意を知る事になります。
十蔵を止めるためなのか、呪われた十蔵の魂を解放するためなのか、或いは十蔵と共に滅び朽ち果てるために、二百年もの間妻は刀に姿を変え、自らを殺めた夫と共に他者の血を吸ってきたというのでしょうか・・・

何れにしてもあまりに凄まじい情念ですが、こういうのは男の感性ではまず表現できない、女性脚本家だからこそ描ける部分なんでしょうね(恐いよ靖子にゃん(^^;)

そしてそれは十蔵と妻との“絆”のカタチでもあり、それこそが実は丈瑠の言う“十蔵にとっての真実”だったのでしょう。
炎の中に崩れさってゆく十蔵と、光の粒になって散った妻である裏正は、果たして滅びる事で救われたのでしょうか?

>責任をとってもらう!
流ノ介のこのセリフに萌え死んだ“おっきなお姉さん達”は、三途の川からウジャウジャ出てきたナナシたちの如く居たに違いない(笑)
まぁ「責任とってね」は、男にとっては一種の死刑宣告みたいなもんですからねぇ(を

自分たちが過ごしてきた時間は本当だということはの言葉にも、自分を守るために皆が無駄に命を落とすかも知れない嘘をつき続けていた事も本当だと、この期に及んでも皆から離れようとする丈瑠。
正直、ここまでくると単なる分からず屋の域に入っちゃう気もするんですが、ここでのみんなの丈瑠に対する行動が、それぞれのキャラクターが出ていて良いですね(^^)

取り敢えず一発ぶん殴って嘘はチャラにするなんて言う千秋に、例え殿様でなくとも、丈瑠自身に積み重なってきたものはちゃんとあると包み込む様に語る茉子(欲を言えばここで“ハグ”してほしかったけどね)

そして流ノ介のあの問題発言!
自分が主君と認めて仕えてきたのは、志葉家党首ではなく志葉丈瑠という人間だから、責任を持ってそれを受け止めてくれという意味合いではあるんですが・・・・やっぱ“ネタ”的にはこんなに美味しい展開はない訳で(笑)

それはともかく・・・(^^;

流ノ介の“殿と見込んだのは1人”という言葉に同調するかの様に、自分を支えようとするみんなとの絆に、思わず涙を流す丈瑠の姿は、番組1年間通してきた中で最も人間らしい“素”の姿だった気がします。

>姫の孤独
丈瑠と侍達が深い絆で結ばれている事や、自分が出てきた事で却ってみんなを苦しめる事になってしまった事を、ちゃんと理解していた薫姫。

とは言え、丹波さんが言う様に姫が人知れず血の滲む思いをして、当主としての技量や封印の文字を収得してきたのも事実。
自分が良かれと思ってしてきた事が、逆に周囲を苦しめる事になってしまった点では、姫も丈瑠や爺と同じなんですよね。

けど、そういう時に支えてくれる家臣の心は自分の方には向いていない訳ですから、結局姫は孤独なんですよね。
なのにそれをちゃんと受け入れ、自分の行動に責任すら感じてるのですから、ホントによく出来たいい娘だし、確かに当主に相応しい器を持っているのだけど、それ故に健気で可哀想になってしまいます。

正しく、もっと憎たらしいお姫様なら簡単だったのに・・・って感じですね(^^;

>うむ、これはいい
予告で姫が丹波さん張り倒してた“ハリセン”は朔太郎さんが出所だったのか(笑)
やっぱこのお姫様も、素顔はきっとお茶目な明るい女の子なんでしょうね。

あのウザい丹波さんも、こういう場面では結構癒しになってるようで、意外とこの人も姫の事を思うが故に、嫌われ役や道化役をわざと買って出てるような気もします。

>寿司屋でよければお供するぜ
姫の事を快く思っていなかった源ちゃんも、彼女の孤独や人柄を目の当たりにし、理解した模様。

だからこそ自らお供を買って出た訳で、姫の方も断る理由もない。
外道衆から人々を守るという目的は、侍も寿司屋も関係ないし、元より源ちゃんを区別などしていなかった姫は、やはり名君なのかも知れません。

そう思うと、姫と源ちゃんとのもう少し掘り下げたドラマも、観てみたかった気がするな。

>茉子VS薄皮太夫
丈瑠と十蔵と同様、因縁のあった茉子と薄皮太夫の決着も描かれた訳ですが、どうも太夫は茉子に敢えて討たれた様に見えますね。

妻の魂で作られた裏正と共にある事で外道以上の外道となった十蔵とは対照的に、憎しみと愛の果てに新佐が姿を変えた三味線と共にある事で、人間であった事をずっと引きずっていた太夫が、やはり裏正を手放さなかった事で人として滅びた十蔵に対し、太夫は三味線を手放す事で外道になりきろうとした訳で、元は人間であった2人が各々の情念故の着地点に立ったと言うのでしょうか?

こんな人間の業と言うか、情と言うか・・・多分子供には理解不可能かも知れないけれど、そういうものをしっかり描いている辺りが小林脚本・・・延いては特撮ヒーロー番組の楽しみのひとつですよね(^^)

>戻ったぜ、太夫
太夫の三味線が破壊され、新佐と、太夫が殺した多くの人間の嘆きの力が解き放たれた事で、遂に復活したドウコク!
いよいよ本当のクライマックスです!!

>CMのあと、みんなで一緒に歌を歌おう!
こんなドシリアスなシーンなのに、画面の隅に浮かぶこの文字があまりに場違いな気がして、妙に和む(笑)

>さて次回!
姫が・・・・・・!?

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流ノ介と朔太郎さんとのエピソーードが入ってるのはこの巻
by yaskazu | 2010-01-30 15:03 | 特撮 | Trackback | Comments(2)
Commented by at 2010-01-30 20:19 x
久しぶりにヤスさまの萌えレビュー?を拝見できて、お腹一杯です。(笑
責任云々は…やっぱりおかずですよね!もうご飯が止まらないっす。
十蔵と太夫の対比は凄まじいですよね。また十蔵妻にしても太夫にしても、女の執念というか情念というか…ホラーです。小林さんナイス!(笑
Commented by yaskazu at 2010-01-31 00:35
>つ様
年を明けてからのシンケンジャーは、私も久しぶりに感想書いてて筆が乗ると言うか、キーボードが乗る様な感じで、すごく面白いですね。
もうすぐ終わってしまうのが凄く淋しいです。

「責任とって」は、やはり色んなところで核反応起こした方が多い様で、これはやっぱ触れておかないといけないなぁと(笑)

十蔵と太夫の到達点の描き方はホントに凄まじくて、靖子節全開してましたね。
女性の情念と言う意味では、あそこまで行くと正にホラーなほど恐いです(^^;

けど、考えてみれば「電王」の愛理姉さんだって、娘を守るために自分の愛する人の存在と記憶を消しちゃった訳ですから、靖子にゃんの描く女性像と言うのは、深い愛憎を内に秘めてると言う意味では、根っこの部分では同じなのかも知れませんね。

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