メーカーを擁護してみるII・カシオペアと蒟蒻畑
先の記事の続き。

前のエントリーでは、件のメーカー「タナカ」側は、決して意図的に危険な物を作っていた訳ではなく、新規開発したシステムを如何に安全な物にするかという努力を惜しんでいなかった事。
その上で、それでも警察からの指示があった時に、それに素直に従った“メーカーとしての倫理観”を見て、「タナカ」側を擁護しようと思った事を書きました。

しかし、それ以上に今回の件では非常に腑に落ちないところが幾つかあり、実際他所様のブログやサイト等を覗いてみても、同じ様な疑問を持っておられる方も多数居られる様です。

先ずひとつは、そもそもこの「カシオペアシステム」と呼ばれる新機構を組み込まれた製品は、本当にそんなに簡単に殺傷能力を持ち得る物なのか?
まぁ、警察の正式見解が出た後では、技術的な事とか、専門的な事を色々あーだこーだ書いてもあまり意味がないのかも知れませんが、それを曖昧にしてしまうと今回の問題を語る事はできないので、出来る限り簡潔に、自分なりの見解と検証してみたいと思います。

とは言っても、私の知識なんて“へっぽこ”もいいところなんで、確かなものにはなり得ないでしょうが、それでもトイガンに関しては世間一般よりは多少は詳しいつもり(パソコンで言えば、自分でメモリを増設出来る、HDの交換が出来る程度には)だし、実銃に関する知識も基本的な事は理解できるつもりなので、大まかなイメージ程度でなら語れると思い・・・ます(^^;



検証と言っても、私の手元には当該の製品は無いし、実物を見た事も触った事もないので、本当にイメージと推測で語るしかないのですが、ネットや雑誌(久々に「GUN」とかを本屋で立ち読みした)等の記事とかでこの商品の構造とか、BB弾の発射システムを見る限り、やはりそう簡単に(警察の言うような)火薬による金属弾の発射が可能とは、ちょっと思えないと言うのがその時点での正直な感想。

論点となるのは、この製品のシステムが実銃と同じように薬莢に直接発射ソースとなる物、この製品の場合だと代替フロン(エアコンや冷蔵庫なんかの冷却に使うのと同種の物で、オゾン層を破壊しないもの)と弾を装填し発射するシステムだという部分で、つまりここに代替フロンの代わりに火薬を詰めれば、それを発火させて金属弾を撃てるんじゃないかって事だそうです。

確かにこの製品、銃本体の一連のアクションを見れば、引き金や撃鉄を引くとそれに連動して弾倉が回り、引き切る寸前で弾倉がロックされ、引き切ったところで撃鉄が落ちて発射・・・というプロセスや内部メカニズムの構造や動作等は正に実銃そのもので、実によく再現されているようなんですが、肝心の弾を発射するシステムや構造は実は全く別物なんですね。

実銃は撃鉄に付いてる撃針という小さなパーツが、薬莢の底部を打撃した衝撃で火薬を発火させ、その爆発力と燃焼ガスで鉛の弾頭を発射するのですが、この製品の場合、本物と同じに見えるアクションやプロセスそのものはあくまで“ダミー”で、そもそも撃鉄には撃針が付いていない。
いや、撃針に相当するパーツはある様なんですが、それは撃鉄では無く弾倉の内部にあり、薬莢の底部ではなく前部を、直接的ではなく間接的に薬莢内のバルブを解放してガスを噴射させ、BB弾を撃ち出す構造なんだそうで、その力もバルブ解放に必要な最低限のレベルで、とても火薬を発火させる様な力は無いとの事。

それに、もし火薬や金属弾を使おうとするなら、本体ではなく“薬莢の方”を改造するなり新造するなりしなければならず、製品に直接火薬を装填する事は構造上不可能
報道によっては「改造しなくても実銃同様の殺傷力がある」なんて記述されてますが、確かに本体は大掛かりな改造はしなくてもいい“かも”しれませんが、薬莢の方は大幅な改造なり新規製造が必要という訳です。

更に、銃身内部のBB弾の通るパイプは真鍮製だったり、内部パーツを支える内蔵フレームはダイキャストだったりはしますが、基本的にはプラスチック製品なので、実質的に金属弾の発射や、それに必要な火薬の爆発に耐えられる強度は持っていない・・・
と、まぁここまではネットや雑誌で得た情報を私なりに纏めたものですが、エアーソフトガンとかモデルガンが“どういう物か”を分かってる人間には、これが実際どんな物だったのかは、イメージするのは難しくはありません。

それらのものを総合的に考えて、本当に「カシオペアシステム」搭載の製品が実銃並みの殺傷力を持った凶悪な物になり得るかどうかと考えると・・・

うん、やっぱり出来ちゃいそうなんです(^^;

但し、警察の科警研とか科捜研とかいった専門機関の知識と技術、設備と相応の予算があればの話ですがね!

実はこの辺りが今回の件の、ある意味最大の落とし穴と言える部分で、それは言い換えればそう簡単にシロウトが改造できる物ではないし、少なくともこれ見よがしにマスコミが報道してるような“誰でもお気軽改造で簡単に人殺せるよ”みたいな物騒なシロモノではなさそうだという事。

なのに何故今回の様な事になってしまったかと言えば、警察の専門機関の技術を駆使したら実際に金属弾が火薬で撃ててしまった。
撃ててしまった以上は(例え一般的には困難な改造だったとしても)やっぱり“実銃と同じ”だと判断されてしまった。
もしかしたら、どこかの物好きが興味本位で同様の物を作ってしまうかも知れないし、それによる犯罪、事故、負傷や落命といった事件が起きる可能性も確かに否定出来ないでしょうから、警察としても認める訳にはいかなかったってのもある。

その辺りの細かい経緯や事情を全部“すっ飛ばした”上、ただ“実際に金属弾が撃てたという結果だけ”を、マスコミが大々的に報道してしまったため、如何にも「タナカ」が悪質なメーカーであり、「カシオペアタイプ」が危険窮まりない玩具だというように世間には認識されてしまった・・・というのが、今回の一連の流れと思って間違いないんじゃないでしょうか?

けどそれを言い出してしまったら、それこそ警察の専門機関並みの技術を持ってすれば、世に出回ってるトイガンは、モデルガンやガスガンは勿論、やり方によっては駄菓子屋で売ってる銀玉鉄砲ですら、実銃並みの破壊力を持った物に改造出来るかも知れないって事になるし、逆に言えばそれは「カシオペアタイプ」の危険度とやらも、実は現在売られてる他の余多の製品と大差ない可能性も出てくる訳で、「タナカ」や「カシオペア」だけが晒されるのはちょっと筋が違うんじゃないかって話になる。

ふと、これと似た話が最近あったような気がしたのですが、これってちょっと「蒟蒻畑」の騒動と通じるものがあるんじゃないでしょうか?
あれにしても、マスコミや野田聖子議院が“あんな騒ぎ方”をしなければ、なにも販売を停止しなきゃならんような事態にまではならなかったと思うし、私も当時から言ってるように、あれがダメなら正月の餅は全面禁止にしなきゃならなくなる。

ただ二つの件のの大きな違いは、「蒟蒻畑」は理解者も多くて世論を味方に出来たけど、「カシオペア」(と言うか、ガスガンという物それ自体)は世間一般から疎まれる存在でしかない分、マニアしか味方に出来なかったってところでしょうか?(^^;

どちらにしても、偏った報道や国家権力がひとつの企業を不等に追い込んだ側面って意味では共通してると思うし、実はこの件の一番大きなポイントはそこにあるんじゃないかと思うのですよ。

そんな訳で、次はその辺りを中心に、もう少しこの話を続けたいと思います(一応、次で完結編にするつもりです(^^;)
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by yaskazu | 2008-11-13 21:38 | 社会 | Trackback | Comments(0)
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