先日見てきた「仮面ライダーTHE NEXT」の感想をば。
但し、例によって一回しか観てない上に、寄る年波で記憶力もどんどん薄れていってるから、かなりスットコドコイな感想になっちゃいそうなので、その辺りはまたまた御容赦の程を・・・(^^; 総体的な雑感は先日も書いた通りですが、補足すると前作「THE FIRST」が、長石多可男監督を始めとするスタッフ達の、オリジナルの「仮面ライダー」への思い入れが色濃く出ていたのに対し、今回はそういうものは“いい意味で”薄らぎ、ホラーとアクションに徹した分「THE FIRST」の頃から目指していた“怪奇アクションとしての「仮面ライダー」を現在の視点と方法論でリボーンする”という物にはむしろ近づいた感じかな? そういう意味では、自分的には前作よりかは自分のシュミに近かったと言えますが、だからと言って諸手を上げて受け入れれるか、と言えば・・・実はそうでもないんですよねぇ(苦笑) 確かに「THE FIRST」よりは、自分の求めてる物には近かったけど、私個人が本当に観たいと思ってる“オリジルを現在の視点と方法論でリボーンする”とは、やっぱりちょっと違うんですよ。 この辺りは個人の主観や感性の問題だと思うし、実際ファンの中でも「THE FIRST」以上に賛否が分かれている様ですね。 確かに、映画としては素直に面白いと思うし、その点では私も十分楽しめました。 日本の特撮ヒーロー物を取り巻く土壌や環境で、こういう作品が作れたと言う事は、それだけでも評価に値すると思います。 観て損はしないと思うし、オススメかと訊かれれば文句なしに「オススメだ、是非観に行け!」と言える映画なのは間違いありません。 ただ、それでも(自分にとっては)“面白い映画ではあるけど、自分の求めてる物とは違ってた”というのも事実でして・・・て、これじゃ結局方向性が違うだけで「THE FIRST」の時と同じ事書いてるな(苦笑) ともあれ、本編の感想をば(記憶が相当に怪しいので、半分は信じない方が良いかも・・・(^^;) 非常に長文になってしまいますので、何日かに股がってUPしていきます。 また、思いっきり“ネタバレ”してますので、未見の方、内容を知りたくない方は御注意を。 >Platinum Smile 灯りの消えた暗い部屋を、有一照らすパソコンのモニタに映るアイドル“Chiharu”が歌う“Platinum Smile”のPVを観てる、もう嫌味な位なビジュアルの引きこもりのオタク男“照夫”が、何者かに惨殺されるシーンから物語はスタート。 画面と音声が突然乱れた直後、照夫が“何か”に襲われ、物音を聞き付けた照夫のおかんが、床に血のべったり付着した部屋で顔を斬り刻まれた照夫の屍体を発見し、狂乱するシーンは正にホラー映画で、かなり「旧1号編」的な“怪奇テイスト”にも溢れ、この映画の方向性を決定すると同時に、客を引込む“掴み”としては見事に成功してると思います。 あと最初に言ってしまえば、冒頭からいきなり登場するこの“Chiharu”こそ、この映画の本当の核であり、彼女と、今作のヒロインである“琴美”を中心に本作のストーリーは回ってると言っても過言ではなく、その点では前作の“晴彦と美代子”のポジションに近い位置にあるのが“Chiharu”を巡る物語と言えるでしょう。 >オープニング 前作の、赤いマフラーが画面一杯に翻って「レッツゴーライダーキック」に乗って始まる、あの印象的だったものと違い、今回は“Platinum Smile”のPVが街頭モニタに映し出される中、この曲を聞くと死ぬと言う都市伝説が囁かれる街の雑踏に、役名なしの出演者の名前のみがスーパーで入るといった、全く違った意匠のオープニング。 本作の方向性からすればこの方が合ってると思うし、前作との差別化を図る意味でもこれでいいとは思います。 けど、勝手に“今度は「ライダーアクション」か、まさか「戦え!仮面ライダーV3」は使わんだろうな”などと、妄想してたおやじファンとしては、ちょっと淋しい(苦笑) >ダメ教師・本郷猛 本郷は、城南大学附属高校の生物の教師になっていた、のはいいんですが・・・・ なんだこの“学級崩壊”ぶりは( ̄▽ ̄iI まぁ、ただでさえ生物の授業なんてつまらんし、それなりに生徒の心を掴もうとはしてるみたいなんだけど、どうにもそれが空回りしている模様。 挙句の果てに生徒にからかわれて、一斉に“タケシはドーテー”コールされ、黒板に落書きまでされてしまう始末(笑) まぁ“らしい”と言えば“らしい”んですが、あまりにも“らし過ぎて”思わず吹いちゃいました(^^; 劇場で私の横にいた父&息子と娘の家族連れ、このシーンで“娘”に“ドーテー”の意味を訊かれて「・・・・」になってるお父さんの図というのをリアルに横目で見て、思わず和んでしまいました(笑) 因みに“タケシはドーテー”は公式設定との噂(笑) >菊間琴美 本作の事実上のヒロインなのが、本郷の生徒である“菊間琴美”。 ただでさえ崩壊してるクラスの中ですら浮いた存在の少女で、両親は離婚した後各々再婚し、琴美にはなけなしの仕送りだけして一人暮らしさせてるって境遇(なんちゅう親や(^^;)が、余計に彼女をそうさせてる様ですが、それ故に本郷が気にかけ、自宅にまで押し掛けて事情を聞こうなどと、熱血教師みたいなマネをしちゃうもんだから、尚も拒否されちゃうという・・・(笑) まぁ学生時代振り返れば、確かにああいう先生って正直一番鬱陶しいしタイプだったなぁと思いますよね(「金八先生」がリアルに担任だったら逆にグレると思う(^^;) ただ、本郷の場合は“自分がなんで生徒にバカにされるんだろう”って、逆に琴美に相談して彼女を呆れさせたり、後のシーンでは琴美にコーヒーを奢ってもらってたり(理由はあるんだが)と、そりゃお前バカにされるわいと突っ込みたくなる事頻り・・・(^^; そうそう、本郷が今をときめくアイドルである“Chiharu”をちゃんと知ってる辺り、意外とミーハーと思われるのもツボ(笑) ただ、本郷のこういう“人間臭さ”が、彼女が心を開く切っ掛けになったのも確かではありますがね(もっとも、決定打になるのは彼女が本郷の正体を知った事なんですがね) ところで本郷が琴美を訪ねた時、同じアパートの住人らしい“外国人のお姉さん”がやたらキャラ立ってたんですが、あの人は結局なんだったんでしょう?(^^; >偉大なるショッカー とあるレストランの地下にある“ショッカー基地” ここで、予告等でも流されていた“全裸の男女”が並んで首領の指令を受けるシーンになるわけですが、画面一杯に“お姉さんのおっぱい”が大写しになった時に、心の中で“PG12万歳!”と叫んだ中年ヲタが約1人居た事はこの際おいておいて(・・・(^^;)すっぱだかに黄色いマフラー巻いて仮面被ったショッカーライダーとチェンソーリザートの図は、ともすれば“ギャグ寸前”です(苦笑) てか、なんだか“妙なプレイ”に見える(^^; 納谷悟朗さんの“首領の声”はやっぱり勘録! 確かに、昔にくらべれば声もちょっと歳くったなぁとは思いますが、それが却って首領の“大物ぶり”を匂わせて、ここは素直に痺れました!(^^) そして、この基地の更に地下にある薄暗い廃棄施設の様な汚水の水たまり。 予告編の冒頭にも印象的に挿入されてたシーンですが、ここで蠢いている無気味な影が、本作では大きな意味を持ってくる事になります。 >恐怖の包帯女 琴美がChiharuの親友だと言うのはかなり早い段階で明かされます。 最近連絡のとれなくなった事を心配した琴美が、アイドルのChiharuではなく、親友である“風見ちはる”の情報を得るべく、接触しようとしたChiharuのファンクラブの会長“岡村”(これまた“如何にも”な風貌、田崎監督はおたくに偏見でもあるのか?(笑))が、2人目の犠牲者。 車内に流れていた“Platinum Smile”の画像が乱れた時、足元から白い手が伸びてきて・・・・ そしてどこからともなく出現した“顔面包帯姿の女”に襲われた直後、車のフロントガラスに内側から鮮血が“ビシャ!”っと飛び散り・・・って、恐ぇえーーーー! この包帯女の正体、察しのいい人であればこの段階で概ねの見当はつくかと思いますが、それはともかくコイツの出てくるシーンは、演出自体が意識してるって部分もあるけど、正に“貞子”か“呪怨”かって位、本当に恐いです!(^^; >親友 岡村の無惨な屍体を発見して失神した琴美を助け、岡村の異常な殺害状況を見た事から、いよいよ本郷が本格的にストーリーに絡んできます。 介抱してくれた事にそれなりに感謝はしつつも、この時点ではまだ完全に本郷に心を開いてない琴美は、直接Chiharuのマンションに1人で向かう訳ですが、こうなってはもう放っておけない本郷は断りもなく琴美を追い掛けるストーカー行為に・・・って、あすかの時と同じ事やってるよ!(進歩がないのかお前は(^^;) この一連のシーンでChiharuが琴美の親友だった事が明かされますが、それに対し本郷が“俺にもいるよ”と言った親友とは勿論“一文字隼人”の事。 どうやら2年前にショッカー基地で別れて以来、一度も会っていないらしいですが、それでも“親友”だと言い切る辺り、2人の絆は海よりも深いらしい・・・って、なんか思わず突っ込み入れたくなる下りですが、本当にそうらしい辺りがなんとも(^^; >迫る包帯女 自分の曲を聴くと人が死ぬという“噂”をどう思うかという、無神経な記者のインタビューに疲れてしまったChiharuが自宅でバスタブに浸かっていた時(泡が邪魔だ泡が!)、彼女の背中に無気味な“手形”が浮かび上がる・・・ 更に、chiharuが手を伸ばしたテッシュの箱から白い手が伸びてきて掴み返したり、鏡の中の自分が“包帯女”の姿に変わって迫ってきたりで、恐怖のあまり屋上まで逃げ出したChiharuを“四つん這いの”包帯女がワラワラと追いかけてくるという、もう失禁物の恐怖シーンがこれでもかって位展開されます(マジでコワイ!!!) 追い詰められたChiharuは、包帯女に無惨に顔を斬り裂かれて屋上から転落・・・・ >私はChiharuじゃない・・・ Chiharuが地面に叩き付けられた時、そこに遭遇したのが彼女を訪ねてきていた琴美と本郷。 しかし、今際の際のChiharuの口から発せられたのは“私はChiharuじゃない・・・”と言う、驚きの言葉。 斬り裂かれた“偽Chiharu”の顔の上に(どういう力が働いたかは不明ですが)彼女の本当の顔が幻影の様に浮かび上がり、自分はChiharuそっくりに整形され、Chiharuとして“働かされていた”事を告白して絶命。 要するにラスク・クラインに対するミーア・キャンベルみたいなものくぁwせdrftgyふじこ・・・ 何故、彼女は整形されてまでChiharuに成り済まさなければならなかったのか?、本物のChiharuはどこに行ったというのか?・・・と、この辺りから物語が核心に向け動きだします。 >仮面の怪人達 偽Chiharuの死を看取った本郷と琴美の前に出現する、チェンソーリザートとショッカーライダー達。 ここぞとばかりに、裏切者“本郷猛”を抹殺すべく、襲ってくるヤツらに対し、琴美を逃がした本郷はここで遂に変身、この映画で最初のバトルシーンに突入します。 いわゆる“桜島1号”カラーにリペイントされ、ダメージ表現や汚しの入れられた1号のスーツは、画面の中で実際に動くと中々“凄み”があってカッコよかったです(目が光る演出も“光らせどころ”を心得ててイイ!) ただでさえ黒っぽい衣装な上、ナイトシーンである事やシヨッカーライダー達が全員同じデザイン&造形である事も相俟って、しまいには何がどう動いてるのか、誰が誰と戦ってるのかとが判らん様になってくるのも、ある意味“旧1号編”を踏襲しています(そうか?(^^;) ショッカーライダーの1人がどさくさでチェンソーリザートに脚を切断され、斬られた脚が上からボトンと落ちてくる・・・なんて“痛い”演出もあったりで、バイオレンス描写も前作よりパワーアップしてます。 そして、琴美がこの戦いを目撃してしまった事で、本郷との距離は否応なく縮まっていく事になります。 >死ねない男 夜の高級クラブらしき所に、一文字隼人登場!・・・って、コイツは前作の時も初登場は酒場だったよな(^^; 店のママやホステスを大挙してはべらせ、高級ワインをバンバン抜いちゃう豪遊ぶり。 一体金はどうしてるんだとか、どうやって生活してるんだとかは一切説明されませんでしたが、裏設定では用心棒を引き受ける代わりにタダで飲み食いさせてもらってるらしいです・・・・って、なんか「ミナミの帝王」の世界だな(笑) しかし、彼の“リジェクション”はかなり進行しており、首を被う様に巻かれた派手なスカーフや、季節感無視の黒い革手袋は、葉脈の如く身体を這う黒い筋や、滴るリジェクション液を隠すため。 トイレの中でひとり呟く 「辛いもんだな、中々死ねないってのも」 ってのは、なんだか早く楽になりたいって言ってる様にも聞えます。 リジェクションは隼人の命を確実に蝕んでるのに、改造されて強化された肉体は逆に簡単に死ぬ事を許さない。 それが、今の一文字隼人・・・(ホントに壮絶だな) >疎まれる超人 琴美を兼ねてから敵視していたグループが、仲間のチンピラを嗾けて襲わせた事から、本郷も再び安住の地を失う事に・・・。 朝の登校時間に、ヤツらが無理矢理琴美を車に連れ込もうとしたのを見た本郷は、皆の見ている前で動く車を素手で止め、ウィリーで襲ってくるバイクの車輪をもう片方の手で受け止め、そのまま前輪を外すという超人的な力を発動させてしまう・・・ 今まで皆からバカにされていた、お人好しのダメ教師だった男が突然見せつけた“力”に、簡単に本郷を見直してヒーロー視する様な単純な展開にはならず、むしろ皆が気味悪がって増々離れていき、更に孤独になっていく・・・というヘビーな展開は正に井上脚本の真骨頂であり、“石ノ森テイスト”を実によく表現してると言えるでしょう。 で、先のシーンの一文字も、派手に遊んでる様に見えても結局は孤独な存在で、カタチは違えど、同じ改造人間の宿命を背負いながら、同時に“孤独”である事も共有している。 だから、本郷と一文字は離れていても繋がっていると言う事になるんですな(うん、やっぱ前作以上に“濃い”関係だよ) それでも本郷は、琴美を救うために力を使った事を決して後悔していないらしい辺りは、実にヒーローらしく、また“仮面ライダー”していて、少し救われます(^^) >あんたの力が必要なんだ そして、そんな本郷を有一受け入れてくれたのが、他でもない琴美自身なのも救い。 Chiharuの行方を探すための力になって欲しいという目的はあるにせよ、本郷が信頼できない人間なら琴美だって決して頼みはしない。 詳細は判らなくても、本郷が“ヤツら”から追われている事や、ヤツらと戦ってる事を目の当たりにした琴美は、それでも自らを顧みないで(学校の前での件も含め)自分を守ってくれた本郷を、信頼できる人物だと思ったのでしょう。 そして、琴美もまた孤独である事も大きい。 他人の為に戦う事で自らが孤独になっていっても、それをしっかり受け止めてる本郷の姿に、どこか自分と通じるものを感じたのも、彼女が心を開いた理由でしょう。 本郷がコーヒーに砂糖を4つも入れる“甘党”なのを知って和んじゃう琴美がいい表情してます(^^) 因みにこのシーンで先に触れた“琴美にコーヒーを奢ってもらう本郷”ってのがあるんですが、理由はどうあれ、仮にも教師なんだから生徒に奢ってもらうなよ!(笑) >Chiharuは死んではならない Chiharuのマネージャーと、事務所の社長に呼び出された1人の少女は、顔に整形手術を施されて“3人目のChiharu”として生きていく事を要求される・・・ どうやら最初の“偽Chiharu”の死は隠蔽されてしまった模様で、偽Chiharuの整形手術を執刀する医者も見るからに“闇”で仕事をしている空気を漂わせており、かなり根深い陰謀の匂いが漂います。 これにはChiharuは事務所にとってはドル箱であり、故に“商品としての”Chiharuは永遠に生き続けなければならないと言う“大人の黒い欲望”が裏にある訳ですが、そもそも何故偽のChiharuを仕立てる必要があったのか?、そして今度選ばれた少女“谷口由香里”と、最初の“偽Chiharu”だった“戸塚尚子”は、何故“偽Chiharu”に選ばれたのか?、包帯女との関係は?・・・と、ここには物語の根幹に関わる謎が潜んでます。 因みに、社長役の“嶋田久作”さんは相変わらず圧倒的な存在感で、その怪しさと言ったらショッカー怪人なんかよりも遥かに上・・・てか、多分この映画の中で最高に“怪しい人”です(笑) >風見志郎 親友“ちはる”の情報を得るため、彼女の実の兄である“風見志郎”の元へ向かう琴美と、お伴の本郷(笑) この映画においては、風見志郎は有名なIT企業の若き社長という設定になってますが、その風見の会社は社員全員がある日突然、忽然と失踪してしまうという事件が起きたらしい。 その事件の裏にも、今度のChiharuの一件に重要な関連があったのは後に明かされるところ。 人気の無い風見邸に、門壁のシャッターの隙間からどんどん入っていく琴美に“こんなことしちゃいけないよ”なんて言いながら主導権握られちゃってる本郷が笑えます(^▽^) そして、邸内のだだっ広い一室で、ひとり静かにワインのデカンタージュに勤しむ風見志郎・・・って、なんかこの辺り如何にもな“井上キャラ”になってますなぁ>NEXT版風見(笑) すると、そこに出現したのは・・・・と、物語はここで新たな展開を迎えます。 と言う訳で、パート2に続きます。 projectBM! 仮面ライダーTHE NEXT 1号 / メディコム・トイ スコア選択:
by yaskazu
| 2007-11-14 21:12
| 仮面ライダー
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