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人造人間再起動・1
先日観てきた「キカイダーREBOOT」
自分はとても楽しめたし、面白かったと思うのですが、ネット上では評価が完全に“まっぷたつ”に割れているようです。

勿論、こういうリメイク作品には、常に賛否はつきものなのですが、特にこの作品に関しては、ほぼ両極と言ってもいいくらい、肯定派と否定派がハッキリと分かれていて、中間的意見が少ないという印象を、個人的には受けました。

人の感じ方はそれぞれですから、どの意見が正しいと言うことはないし、同時にどれが間違ってるとも言えません。

ただ、あくまで自分の“主観”であることをお断りした上で述べさせていただければ、否定派の人は半ば感情的で、批判のための批判をされてる方が目立つように見え、肯定派の人は、論理的で発展的な意見の方がおられる一方、ビジュアルやキャストといった部分を評価されてる方が多いようです。

ひとつの作品に対し、これだけ意見が二分されてるというのは、それだけ“何か”を持っていることの証でもあり、まさに“二つの心”の狭間で悩むキカイダーを象徴してようでもあります。
もしかしたら、それが制作者の“狙い”なんじゃないか・・・なんてのは、少し考えすぎでしょうか?(笑)

自分も、この作品に関しては、少し感想を書いておきたいと思うのですが、以前に比べ、長文の感想を書いたり、纏めたりする時間や、私自身にその集中力がなくなったこともあり、TVの感想とかはついツイッターでつぶやいて終わってしまうことが多く、一度に纏めて書くのは厳しいので、今回から不定期に、数回に分けて、ポイント別に、たらたら感想書いていきたいと思います。

途中で頓挫するかも知れませんが、気長にお付き合い願えれば、幸いです。

なお、エントリーの性質上“ネタバレ”が多分に出てきますので、未見の方はご注意いただければ、幸いです。

以下、本文。



まず、作品そのものの在り方に対し、主観的な意見から。 
先のエントリーや、ツイッターでも少し触れたように、TV版の“特撮ヒーロー物”としての、或いは少年サンデーの石ノ森コミック版としての「人造人間キカイダー」を求めていくと、かなり強烈なカウンターパンチを喰らうかもしれません。

でも、実はそれこそがこの「キカイダーREBOOT」の制作意図そのものだったようで、TV版やコミック版とは違ったアプローチから、既存の特撮ヒーロー物とは別の方法論で「キカイダー」を作ることで、オリジナルの本質を導き出そうとする試み。
そうすることで、一件順風に見えつつ、実は低迷してる日本の特撮物とその業界を、次のステージに進たいという、作り手側の“思い”があったように感じました。

注目すべきなのは、いわゆる“特撮ヒーロー物ヲタク”といった層の客に“媚”を売っていない(例えば、名乗りや必殺技のカタルシス等の、日本の特撮ヒーロー物の“お約束”的なものの意図的な排除)等、、むしろケンカを吹っかけてるような面があり、これがそういった“ヲタ層”の神経逆撫でしちゃった部分は、自分も“特ヲタ”だからこそ、感じました。

でも、だからと言って決してつまらない訳ではなく、脚本もよく練られてるし、アクションや特撮のテンポや表現は、ハリウッドのアメコミヒーロー映画を彷彿させるものになっていて、日本のヒーロー物の映画としては、かなり高水準な仕上がりになってたと思います。

確かに「スパイダーマン」や「アイアンマン」には遠く及ばない、という向きでの批判も多く、それを言われると身も蓋も無いのですが(…(^^;)それでも、既存の方法論に甘んぜず、今までとは違う方向性や表現に、果敢に挑んでいたと言う点では、もっと評価されるべきです。

及ばないからと言って、そこで立ち止まっていては、それこそいつまでもハリウッドに“日本のお株”を、奪われたままになってしまいますからね(^^;

あと、この作品は“玩具の販売戦略”といった、“スポンサー在りき”で作られた作品ではないということ。
実はこれ、かなり重要なポイントなんじゃないでしょうか?

確かに、今の日本の特撮界は、玩具の商戦との兼ね合いで成立していて、これがなければ、多分今の状況すらあり得ないでしょうが、その反面、このスポンサーありきの現状が、作品の大きな“縛り”になってるのも事実でしょう。

そういった“束縛”から、少し距離を置いたところで、こういう“特撮ヒーロー物”というジャンルの作品が、1本の“映画”として作られたことと、それが「仮面ライダー」でも「戦隊」でも「ウルトラ」でもない、「キカイダー」だというのは、今後の日本の特撮物というジャンルや、業界の行く末、方向性といったものを探るための、ひとつの指針になるものだと思います。

最初に述べたように、この映画はオリジナルの「人造人間キカイダー」や、現行作品の延長上にある“特撮ヒーロー物”を求めた人にとっては、否定的な感想を持つ方が多いかもしれません。

しかし、オリジナルの「人造人間キカイダー」に対しても、その“本質的”な部分の解釈によっては、この「キカイダーREBOOT」でのそれらの捉え方や表現に“なるほど”と感じた方も多いようだし、既存の特撮物とは少し違った物を期待した方には、ある程度は満足できるものになっていたのではないでしょうか?

確かに、100点満点はつけられないかもしれないし、自分も不満がない訳ではないけれど、色々と新しい可能性を模索し、それをカタチにしてみせたという面において、非常に意味も意義もある作品だと思います。

てことで、取り敢えず今回はこれくらいで。

次回からは、作品の内容やキャラクター等について、述べていきたいと思います。

【チラシ付映画パンフレット】 『キカイダー REBOOT(通常版)』 出演:入江甚儀.佐津川愛美.高橋メアリージュン

東映


by yaskazu | 2014-06-04 23:44 | 特撮 | Trackback | Comments(0)
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