最近、また特撮の感想とか書けてなくて、スンマセン。
言い訳になっちゃいますが、所用野暮用等が重なり、落ち着いて書けない時期が続いたりで一旦ペースが狂うと、元に戻らないままズルズル過ぎてしまい、また最近はツイッターに逃げちゃう事も多いので、当ブログを覗きにきてくださる方には、不義理をしてしまってる状況で、誠に申し訳ありません(^^; 代わりと言う訳ではありませんが、最近ちょっと思うところのある事を少し、記しておきたいと思います。 つい最近、深夜のマツコデラックスの番組で紹介されたり、CSのファミリー劇場で放送があったり、また昨今の世相が微妙に関係もしてるのか、「帰ってきたウルトラマン」の中の最大の問題作「怪獣使いと少年」が、静かに注目を受けてるようです。 このエピソードに関しては、確か同じファミリー劇場で最初の放送があった頃、今は開店休業状態の私のホームページ内で、自分も約7年ほど前に感想を書いてます。 はぐれ者の与太話 内容的に、自分で見てもあまり褒められた内容の事を書いてないので、当時は隠しページ扱いにしたのですが、Yahoo!やGoogleの検索で簡単に出ちゃうらしく、今でもたまに“読みました”ってメールが来る時があって、今更隠しても意味がないので、当該ページもリンク張っちゃいますね(^^; 当時の感想記事 作品そのものに対する、自分自身の感想とか、解析自体は、当時と全く変わってないし、撤回も修正もするつもりはないのですが、昨今のこのエピソードに対する“世間”での扱われ方が、少し気になるというか、“引っ掛かるもの”がある事と、最近私自身の“特撮ヒーロー物”に対するスタンスというか、心境みたいなものに、微妙な変化があり、そこらのことを、少し語っておきたいので、例によってちょっと長いのですが、よろしければおつきあい願えればと・・・ このエピソードは、確かに様々な要素を含んだ、強烈なメッセージ性や、テーマ性を放ってることは間違いないし、事実スタッフ側(特に脚本の上原正三氏や、監督の東條昭平氏)も、“そのつもりで”やった、“確信犯”であることを、公式に認められてますからね。 ただ、昨今のこの作品をメディアでの取り上げ方や、ネット上での個人の感想とかを見る限り、どうもそういうテーマやメッセージの部分だけが“一人歩き”したような、まるでその部分をセールスポイントにした、或いはある種の“思想的”“啓発的作品”のような扱われ方をする例も見受けられ、それには個人的に強い違和感や拒否感を憶えるのですよ。 前述のように、スタッフがこの回に“そういうもの”を確信犯的に盛り込んだのは事実だけど、多分それは当時まだ若かったスタッフが、ある種の若気の至り的に、自分らの“思い”であるとか、心の中のモヤモヤみたいなものを、勢いで“ぶっちゃけてしまった”結果で、決して変な思想的啓発とか、問題提議を目的にして作った訳ではないし、ましてそこを“売り”にしようなんてつもりは、恐らくなかっただろうと思うのですよ(上原氏御自身は、あのホンを書いた事を、今では後悔してるなんて話もありますしね) 一番自分が危惧するのは、世間に“そういう目”で扱われる事で、この「帰ってきたウルトラマン」という作品そのものや、ウルトラシリーズ全体、延いては特撮ヒーロー物というジャンル自体が、全て“そのテのもの”を秘めた類のものみたいに思われる事で、ファンの立場としては、それはむしろ憂うべき事のように感じるのです。 「帰ってきたウルトラマン」の本質は、特撮ヒーロー物であり、怪獣物です。 初期の傑作である“グドン&ツインテール”の回や、シリーズのターニングポイントになった“ナックル星人&ブラックキング”の回なんかが、代表的な“王道”であり“正道”で、この「怪獣使いと少年」を含む、俗にいう“11月の傑作群”と呼ばれるようなものは、むしろ“邪道”の部類なんですよね。 それ以外にも、“ヤメタランス”の回のような、完全なおふざけギャグの回もあるし、どれがとかではなく、どれもが「帰ってきたウルトラマン」という作品の“顔”であり、そうした様々な“顔”を持つエピソードが、全51本のシリーズとして紡がれたものが、「帰ってきたウルトラマン」というひとつの作品なんですよ。 そんな色んな顔を持つシリーズだからこそ、「怪獣使いと少年」の特異性が際立ち、強烈な印象を見たものの心に残す事になる訳で、そこを外してしまって「怪獣使いと少年」の持つテーマ性やメッセージ性“だけ”を取り立てて報じてしまうのは、むしろ非常に偏った見方、考え方だと思うのですよ。 最近「ワンピース」を道徳の教材に云々という話題があり、それに対しても自分はかなり違和感を感じたのですが、この「怪獣使いと少年」も、そのテの教材として使われてるなんて話を聞き及び、いやちょっと待てよと、それは違うだろうと、ある種嫌悪感に近いものすら感じました。 もし、自分の身近に「自分は『怪獣使いと少年』を観て、人種差別や暴力、人間の醜さ、愚かさについて、真剣に考えるようになりました」「『ワンピース』を読んで、いじめ問題や仲間の大切さを学びました」なんて人間がいたら、正直気持ち悪いし、お近づきになりたくないって、思いませんか?(^^; てか、こういう物を見たり触れたりしなけりゃ、そういう問題について真面目に考えたり、学んだりできないのかよ、そんなにお気楽で温室育ちなのかよ、今の子供たちは・・・ それこそ、虚構と現実の順番が逆だろうという、そっちの方が遥かに恐いじゃないかと。 ましてそれを、大人が教材と称して見せる事で、その教師だかなんだか自身の、身勝手な思想や、手垢の付いた道徳論なんかを“押し付けられたり”したら、それは子供にとってもこの上ない悲劇だし、それこそその作品に対して“作り手側”が込めた思いを、蔑ろにしてるように思えてならないのですよ。 「怪獣使いと少年」が作られた、正にそこに描かれた時代に、リアルにそこに登場する子供達と同世代だった自分らの周りには、現実に在日の子や部落の子に、障害者の子なんかもクラスにいたし、そこには差別やいじめも確実に存在しました。 そして、そこには自分らも少なからず拘らざるを得ない部分もあったし、目を背けていた面も確実にあった。 そしてそれは、幼心にも小さな“シコり”になり、大人になるにつれ、封印したい記憶として、無意識に心の奥にしまっていったもの。 リアルに“その時代”に、本放送で観た時は、実はこの回はあまり印象に残っていなかったんですが、それはもしかしたら、そういう微妙な心理も働いて、無意識にこの回を記憶から消してしまったのかもしれません。 それが、思春期を越え、青年期になっていく過程で、改めてこのエピソードに触れたとき、その幼い自分が無意識に封印した“しこり”の部分を、ある種爽快なまでに強引にこじ開けられ、背けてた目を無理矢理そこに向けられたような気持ちになったもので、だからこそこの回が非常に特異で、トラウマにまでなる存在として、心に残りつづけることになったのだと思うんですよ。 でもそれは、当時の自分が望んで観た結果だったし、決して他人から・・・まして“大人”から与えられた物ではなかったはず。 大人があれはいいよ、これを見なさい、読みなさいなんて奨める物に対し、子供は反発するものだし、そういうものに限って当の子供にとっては望まないものが大半なんですよね(^^; 本当に子供のことを思い、考えるなら、子供たちに自ら選ばせるべきだし、そこから自分なりの何かを見つけられたなら、それはそれでいい。 仮に大人が奨めることで、子供が「怪獣使いと少年」を拒否するなら、むしろその拒否する感性を重んじてやるべきなんですよ。 てか、私なら言ってやります。 「子供は観ちゃダメ!」 とか・・・(^^; 最近・・・特に震災以降、なにかに付けてテーマ性やメッセージ性を語りたがる風潮があり、中には元々そういう“つもり”ではないと思われるものに対しても、時に完全に的外れな、妙な思想や偏った理念、下手すりゃ政治思想や宗教めいたものにまで、半ば強引に結びつけちゃう者までいて、しかもそれが、俄に湧いてきた批評家や評論家モドキとかならまだしも、旧来からの特撮ファン、オタクみたいな種類の人間まで、そういうことを得意げに語る人がいることには、正直閉口するし、大きく憂いを感じています。 特撮物もアニメも、その本質はやっぱり“娯楽”であり、“サブカルチャー”だと思うのですよ。 だから、基本は楽しく、ある意味バカになって“楽しむ”事が最も大切な事。 テーマやメッセージは、あくまで付加的な物として“感じる”“考える”程度にとどめておくべきで、それを主体に語る事は、実は正しい見方ではないのかも知れないと、最近つくづく感じます。 まして、訳の解らない思想や宗教、教育や政治活動なんかに“利用”されることは、その作品やそれを作り上げたスタッフにキャスト、そしてそのファンに対する侮辱以外の何物でもないと・・・・ 異論、反論、お怒り、色々あるでしょうけど、自分はそう思います。 因みに「怪獣使いと少年」に関してもうひとつ。 ムルチに破壊されたはずの高速道路が、恐らく数日しか経ってないだろう筈の、良少年が円盤探して土掘ってるシーンのバックでは(実景の)高速道路に車が行き交ってるところには、突っ込むべきなのかどうか、未だに悩んでるのですが・・・(^^;
by yaskazu
| 2012-04-23 23:37
| ウルトラマン
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