琉球から来た男
先日、NHKの「 歴史秘話ヒストリア 」という番組にて、金城哲夫氏が取り上げられていました。

まぁ、ある程度ウルトラや特撮に精通した人間、或いは一定の世代の特ヲタなら、何を今更な周知の話ではあったけど、それを知らない世代や、特撮物やウルトラを“そういう目”で見る事のないであろう層に、金城哲夫が“ウルトラ”を通して描こうとした“思い”や“願い”。
特撮物に関わった1人の人間としての金城哲夫を、ああいうカタチで紹介してくれた事は、素直に喜ぶべき事でしょう。

ただ・・・



どこか根底に、金城哲夫をまるで沖縄と本土の狭間の犠牲になった“悲劇の人”みたいに印象づけたい“意図”を感じたのは、私が根っからの“天の邪鬼”だからなんでしょうかね?

番組の中でも語られていた通り、金城さんが自作を通じて、琉球民族の思いや、沖縄と本土との関係を、メッセージを込めて描いていたのは確かだし、円谷プロを離れた後の、特に晩年は決して恵まれてるとは言い辛かったろうし、その最期も悲劇的だったのも、事実でしょう。

けど、あの時代は多かれ少なかれ、映像作品に関わった者は、皆それぞれに自分の思いを作品に込めていたし、沖縄民族の立ち場としてというなら、金城さんの盟友である“上原正三”氏の方が、もっとストレート、且つ強烈に作品にそれを反映させている(言わずと知れた「怪獣使いと少年」や、「イナズマンF」とか「宇宙刑事シャリバン」のイガ星編とか)

そういう、関わった人間ひとりひとりの、願いや思いがひとつに結実したのが、実相寺昭雄監督が称した“星の林に浮かんだ月の船”だった筈。

だからこそ、金城哲夫の人生を、悲劇を思わせるような締めくくりをしてしまうのは、幾ら最後に“思いを受け継ぐもの云々”な事を加えても、なにか違うというか、釈然としないものを感じてしまうのですよ。

まして今、“色んな意味”で沖縄はとても“タイムリー”な題材でもあり、そういう政治的問題と、金城哲夫の思いや人生を繋げて番組を作られてしまったら、ちょっと嫌だなぁとも思うのですよ。

客観的に番組を見る限り、恐らくそういう意図は無かっただろうとは思うし、もし金城さんが今でもご存命で、映像作品に携わる仕事を続けられていたとしたら、それこそ普天間基地問題を題材にした作品をガンガン書いてるだろうと思うだけに、余計にそう感じてしまいます。

と、色々難くせはつけましたが、特撮であれ、アニメであれ、こういう“メディア物”に関わった人物を、その思いや願いを、ああいうカタチで世間に紹介する番組自体は、これからもどんどん作っていってほしいなぁとは思うんですけどね(^^)

ウルトラマンを創った男―金城哲夫の生涯 (朝日文庫)

山田 輝子 / 朝日新聞社


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by yaskazu | 2010-09-17 23:15 | テレビ | Trackback | Comments(0)
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