ウチのブログのアクセス解析を見てみると、検索キーワードのトップが「大魔神カノン」で、他にベスト10圏内に「大魔神カノン 感想」とか、「大魔神カノン4話 感想」なんてのが幾つか入ってたりして、なんだかんだ言っても、この作品にそれなりに注目してる人は結構いるのかも知れないなと思いました。
私も色々文句を垂れながらも、結局は毎回観てしまってる訳ですが、詳細な感想とかは書けなくとも、少しずつでも触れて行こうかなとは思っています(出来る限り・・・ですが) 「仮面ライダーW」も「ゴセイジャー」も勿論気になるのですが、そっちは他にも感想書いてる方は沢山おられますから、改めて私がやらんでもいいかな・・・って事で(^^; まず、この2本は何が良かったかと言えば・・・ 話が漸く“少し”動いた!・・・って、事でしょうか?(ホントに“少し”なんですが(^^;) それと、カノンのキャラクターがどうにか“見えてきた”って事も大きいかな? これはこの2本の脚本を担当したのが、高寺Pと組むのは「クウガ」以来10年ぶりとなる“荒川稔久”さんの力によるところも大きいとは思うのですが、カノンのあのイジイジぶりの要因となっているものや、元来は明いごく普通の女の子であるらしい事の“外輪”が見えてきた事。 そして、1話以来のタイヘイとの誤解が解け、漸く2人が触れ合う事ができた事で、「大魔神カノン」としてのドラマがやっと動き出した(の、かも知れない)事・・・これはこれまでの中では最も大きな動きだったと言えるでしょう。 とは言え、それでもまだスローテンポなドラマ展開や、ローテンションな演出は相変わらずで、それこそ昨今の「スーパーヒーロータイム」の感覚に慣らされてると、そのあまりの“盛り上がらなさ”を、怠くて辛気臭く感じてしまうのは正直なところ。 けど、前回も書いたけど、これはもう最初から“狙い”で、敢えてそういう風に作ってるのは、もうここまでくると明白で、そうであるならばその“真意”はどこにあるのかを、最後まで見届けてやろうと思っている昨今です(うん、やっぱ“乗せられて”ますね(^^;) て訳で、5話と6話を纏めて雑感めいたものを。 5話と6話は構造が対になってる部分があるようで、まず5話の方ではカノンのイジイジぶりの・・・少し言い換えると、視聴者として彼女にイマイチ共感できない、或いは見ててちょっと“引いてしまう”要因が見えてきます。 バイト先の先輩のつばささんの家でべろべろに酔っ払って全部ぶちまけた・・・そこまではむしろカノンの“素”の部分が見えて良かったのですが、その内容が、単に田舎出の純粋娘の域を超えてしまってる様な、彼女のあまりの“クソ真面目さ”故にくるであろう、別れた元カレや、その元カレに自分にとって大切な“いのりうた”をパクられた事、都会とそこに暮らす人間への不信や怨み事的なものだとすれば、先輩としても余計に今後どう接していいか分からなくなった結果が、前日とは温度差を感じる、少し“よそよそしい”態度として出てしまったのではないか? でも、カノンにしてみれば、それが自身の孤独感を増す事になった(と、感じてしまった) バイトに遅れたのも、途中で自転車にぶつけられてケガしたのも、(それがつばささんのせいでないのは分かっていても)連絡ミスで既に助っ人が来ていて“来なくて良かったのに・・・”って流れも、不可抗力とは言え結局は自分の責任な訳だし、多分それを自分の責任と分かっていながらも、あんな風に沈んだ態度をとられてしまっては、同情はしても共感はできないってのはあると思う。 で、その最たるものが大学での“例の件”な訳で、実際問題“単位がヤバイ”って教えてくれた相手に対し、代返程度はある意味礼儀みたいなもんで、学生時代には“その程度”の経験は誰でもあるでしょう? けど、そんな程度の事ですら難色を示すほど、カノンは国宝級の“クソ真面目”な性格であると同時に、その相手からの「実はおじいちゃんが・・・」って、あまりにも分かり易い“嘘”にコロッて騙されちゃうような、天然記念物的な“お人好し”でもあるから、事実を知った時には立ち直れないほど落ち込んじゃう。 それでも、カノンがもう少し取っ付き易い感じの娘なら、周りの対応ももっと違ったものだったかも知れないけど、少なくとも今の彼女は“ああいうキャラ”だから、カノンを騙したかなめさんの素行の疑わしさを教えてくれたあの2人組とも、そこから“騙されたもの同士”って事で友達関係とかに発展したりしないんですよね。 言い換えれば、騙された事に対してその相手を“酷いヤツ”って恨み辛みを他人と共有して貶める事ができない(普通はそうやってストレス発散するもんですが)で、全て自分の傷みとして受け止めてしまう、非常に損な性質でもあり、その“面倒くさい娘”っぷりが、周りが彼女から距離を置き、見ているものを“引かせる”事になり、結果彼女に共感できないって印象に繋がってるのでしょう。 カノンが元カレの幸太郎に二股かけられたり、“いのりうた”盗られたりしたのも、幸太郎自身の人間性もあるだろうけど、カノンのこの“面倒くささ”に耐えれなかった部分もあるかも知れない。 もっとも、これが舞台が東京ではなく、仮に大阪だったら、少し展開は変わっていたかも知れません。 大阪はああいう人に対しても、良くも悪くも平気で土足で人の心の中に上がり込んで、頼みもしないのにおせっかい焼まくり・・・言わば周り全部が“タイヘイ”みたいな人ばっかなんで、そのうち落ち込んだりふさぎ込んでる事がバカバカしくなってきますから(笑) ともあれ、カノンはそのクソ真面目さとお人好しさ故に、都会の乾いた空気の中で他人から距離をおかれるように、自らが陥ってしまってるのが分かったのが、第5話だったと言えるでしょう。 そして、そのカノンの人間性を更に問いかけ、物語にひとつの方向性を見せ始めたのが、続く第6話ということになります。 自分のバカ正直さや、お人好しぶりで深く傷つき、ある種の人間不信に陥ったカノンは、自ら人を信じる生き方や、世の中と深く関わる事をやめてしまおうという結論に達してしまう・・・ 騙され続けたり都会の乾いた人間関係に翻弄されれば、まぁ・・・純粋な人間であればあるほど、陥り易い事ではありますわな(^^; そして、そういう正直で人の良い人間が、いったんグレて歪んだ方向に進んでしまえば、2度と人を信用しない、他人を受け入れないような、救い様のない人間になりかねないし、最悪犯罪に手を染めてしまうのも、案外こういうタイプの人間だったりするもんです。 話は5話に戻りますが、カノンに親切にするふりをして、実は騙していたかなめさんを演じるのは、「仮面ライダークウガ」で、幼さ故の一時の感情から、グロンギ事件の起きてる最中に、ちょっと大人達に迷惑をかけるような事を起こしたところを、五代雄介の行動によって本来の素直さを取り戻した少女、夏目実加ちゃんを演じた“竹島由夏”さんなのですが、あの可憐な少女がえらいべっぴんさんに成長して、おぢさんは戸惑うやら嬉しいやら・・・と、いやそういう事じゃなくて(^^; あの素直な夏目実加ちゃんを演じた女優さんが、都会の中で“擦れてしまった”性格の良くない女を演じると言うのは、ともすればカノン自身があのまま行けば、かなめの様な“歪んだ人間”になってしまったかも知れないという、メタファーというか、“含み”のようなものがあるのかなと・・・まぁ、これは憶測に過ぎませんが(^^; 実際こういう場合は、グレてしまったり擦れてしまったり、そこまで行かなくとも“達観”という言葉に置き換え、世の中なんてそんなもんさと言って“諦めちゃう”方が気が楽だし、事実現実にはそうでもしないとやってられません(^^; でも、本当にそれでいいのか? 結局それは、違う意味で現実から逃げてるだけじゃないのか?、自分や世間に向き合おうとしてないのじゃないか? 良い事は良い、間違ってる事は間違ってるって言えない事の方が、おかしいだろう? ・・・と、厳しく問いかけるのが、高寺作品の一貫した姿勢でもあるし、同時に今回の脚本の荒川稔久氏のカラーでもある。 事実、カノンの姿勢を厳しい目で見れば、幾ら自分が傷付いたからといっても、自分から人に距離を置かれる様な態度をとったり、言ってみれば勝手に落ち込んで勝手に泣いて、自分を取り巻く現実から勝手に逃げているに過ぎない。 お婆ちゃんの言いつけや願いを守れないでゴメンなさいなんて私消めいた事を言っても、それ自体が自分が現実から逃げてる事の言い訳にしてるに過ぎない(しかも、カノン自身は多分そう自覚していない) だから、可哀想には思っても共感はできないし、1話以来彼女に対して感じる“イライラ”を、より深くする事になる。 その事に対し、先に書いた“それでいいのか?”を、直球で問いかける役割を果たすのが、この作品のヒーロー的位置にいる“タイヘイ”なんですな。 タイヘイの“思い”や理念というのは、人間に恩を受けた器物や動物の転生であり、人に恩を返す為に生を受けたる“オンバケ”という存在である事に裏打ちされている分、決して揺るがないし、それ故にまっすぐで澱みがない。 しかし、だからこそ子供の頃のカノンのあの“素直な可愛さ”がタイヘにとってのカノンの姿である分、人を拒絶し、道に荷物ぶちまけて困ってる人を見過ごして行ってしまう今のカノンの態度に戸惑い、憤り、“受け入れられない”のでしょう。 その思いは、オンバケであるからこそ、恐らくは人間以上に強くて純粋。 それでもタイヘイがカノンを追うのを諦めないのは、単に自分が受けた命を遂行するためではなく、あの素直だった少女が“今のように”なってしまった事に納得ができないし、放っておく事もできないから。 人ならざる者だからこそ、人の“良き心”を信じていたいから。 そしてそれは、オンバケの中でも飛び抜けてまっすぐで純粋なタイヘイだからこそ・・・ とは言え、そんなタイヘイの素性や都合など知った事ではないカノンにしてみれば、単につきまとってくる“ストーカーまがい”の気持悪いヤツ(てか、ストーカーそのものだ!(笑))にしか思えないし、そんなヤツに説教(しかも、自分の一番“イタイところを突かれた様な)喰らったところで、ハイそうですねと素直に受け入れられる訳がないし、むしろ逃げて当然の事でしょう(笑) そんなカノンの心を氷塊させたのが、あのチンピラ学生に無抵抗に殴られ続ける事で、自分以外の誰も傷つける事なく理不尽な暴力から罪なき老人を救うタイヘイの姿・・・ 勿論そこには、人の役に立つために生まれたオンバケは、例えどんな相手であろうとも人間に手を出してはいけないからで、それは掟というよりは、それに背く事はオンバケとして生まれた自分自身の存在を否定する事になるからと思われ、それはこの回でハシタカが自身が傷を負いながらも、イパダダに憑依された幸太郎の肉体を守ろうとした行為からも明らかな、オンバケ故の事情や理念があったから・・・ではあるでしょう。 けど、タイヘイの正体や、そんな事情など知らないカノンにしてみれば、自らは暴力を振るう事なく暴力を収めてしまったタイヘイの姿は、自分が捨てようと思っていた“人を信じる心”を、図らずも打ち振るわし、“他人を放っておけない”優しい心を呼び覚ます事になります。 ここでボコられて倒れてるタイヘイに、そっとハンカチを差し出す姿こそ、カノンの本来の姿なのでしょう。 タイヘイがカノンを追いかけていたのが、子供の頃のカノンを知っていたからだった事(この時点では、多分まだ本当の理由は話していない)や、“いのりうた”の件での互いの誤解がとけ、やっとこのドラマの2人の主人公が距離を縮める事になります。 そして、カノンは一度心を許した相手には、自分が“いのりうた”を拒否する本当理由や、胸の内を吐き出すという、決して自ら他者に距離を置いたり、心の扉を閉ざしてしまうような人間ではない事も、このシーンで読み取る事ができます。 こうして開始から6話を経て、漸く物語の起承転結の“起”が終わったようなものですが、恐らくは今後も劇的にドラマが加速して行くという事もなく、今のままのテンポで最終回まで行っちゃうだろうなと言うのが、現時点での印象(^^; けど、それが元からの“意図”であるとするなら、この作品の目指すものはなんなのか、その着地点はどこにあるのか・・・見守って行きたいなと改めて思った、5〜6話でした。 “プチ感想”とか言いながら、結局長々と書いちゃったなぁ・・・(^^;
by yaskazu
| 2010-05-17 22:59
| 特撮
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