赤鼻ヘルパー24時
もうとっくに旬の過ぎてしまった話題なんですが、なんやかやで書き損ねていた事を少し。

9月に軒並み最終回を迎えた7月期のドラマですが、偶然なのか或いは時世を表してるのか、医療や福祉をテーマにした物が多かったように思います。
各々切り口や描き方のスタンスとかベクトルは違えども、題材にしたテーマに対して、皆が真摯で真剣に描こうとしていたのは、好感が持てました。

10月期からは、産科医療をテーマにしたドラマが始まるそうだし、こういう題材がドラマとして成立するというのは、言い換えればそれだけ現実の問題が逼迫している事の裏返しでしょうか。

では、私が視聴していたものに関して、ひとこと、ふたこと・・・



赤鼻のセンセイ
大泉洋主演だからって訳ではないでしょうが、全体のタッチとしてはライトな感じでしたが、扱ってるテーマに関しては真面目に描いていました。

院内学級という、ある意味特殊な学校で学ばざるを得ない、重い病気を抱える子供達に、大人はどう向き合えばいいのか?
院内学級の在り方とは、どうあればいいのか?
そもそも、院内学級は本当に必要な物なのか・・・・?

シリアスなテーマに対し、明るさだけが取り柄(笑)の石渡先生が、果敢且つ滑稽に立ち向かって行く姿は、後で“じわっ”とした感動がくるようで、元々個人的にあまり好きじゃなかった大泉洋を、ちょっと見直しちゃいました(^^;

クラスの仲間の病気が悪化して、死の一歩手前まで行ってしまったり、病院の経営方針で院内学級が廃止されそうになったりといった重い展開も、最後はハッピーエンドになるのは確かにある種のファンタジーかも知れないけれど、ドラマであればこそ許される事だし、現実にもそうあってほしいものです(これは今回取り上げてるドラマ全てに共通する事ですが)

でも、一番衝撃的だったのは、ついこの前までランドセル背負ってた神木隆之介君や須賀健太君が、もう“声変わり”してた事!
そりゃおぢさん、歳とるはずだ・・・・orz


任侠ヘルパー
設定やストーリーの“ぶっ飛びぶり”はこの中では群を抜いていますが、扱ってるテーマを真向からストレート豪速球で描いていたのもこの作品で、それ故に言わんとする事が一番“分かり易く”伝わってきた辺りは実に好感が持てたし、ドラマとしての完成度も高く、今期のドラマの中では出色の出来映えだったと言っていいと思います。

特にメインに扱ってるテーマが“老人介護”である分、近い将来それが現実になるかも知れない私自身にとっても、色々と本気で考えさせられる事も多く、そういった点でも注目していたドラマでした。
年寄りに対する本当の優しさとは?
心から接するにはどうすればいいのか?
介護とはなんなのか?
施設とはどう在るべきなのか?
老人介護だけでなく、様々な“福祉”“医療”“教育”等々に共通する様々な問題の“本質”を、毎回直球に問ってくる脚本は、考えさせられると同時に不思議な“爽快感”がありました。

そしてそれが爆発した最終回。
閉鎖されようとしてるタイヨウに篭城する彦一達が、行政代執行よろしく傾れ込んでくる警官隊と戦うシーンは完全に警官の方が悪役で、一体何が正しくて何が間違っているのかという、ドラマの根幹を貫くテーマを象徴してるようでした。

目の前の老人だけを守っていては多くの老人が救えない。
かと言って、多くの老人を救うためには1人を見殺しにしていいのか?
精神論や倫理観でもなければ禅問答でもなく、今の現実の制度が実際にそうならざるを得ないものである事に対し、1人を見殺しになきゃ成立しない制度なんていっそやめてしまえと、実に単純な理論を直球で言い放つ彦一の言葉は、現実の訳の分からない制度や法律に対する、国民の素直な感情をストレートに代弁していて、実に爽快でした。

そしてそれを、良識的な介護職員とか対立する役人とかではなく、世の中から虐げられる存在という意味では、実は年寄りと同じ立ち位置とも言える極道が放つからこそ、不思議な説得力を持っている。
一見ぶっ飛んだ設定も、実はそこを“狙って”の事だったろうし、それこそがこのドラマの一番の“キモ”になる部分でもあるんですね。

ドラマでは、その言葉を受けての事か、介護保険等の現行制度の廃止や、現場重視のものへの見直しへ向けて動き出すのですが、現実にはそう上手くはいきません。
確かに現実にも、民主党に政権交代となり「後期高齢者医療制度」や「障害者自立支援法」の廃止が公約として明言されました。
勿論、やってくれる事は歓迎だし、それでいい方向に流れてくれる事を信じる以外はないのですが、それでもそれが本当に当事者側のためのものになってくれるのか、期待していいのだろうかってのは・・・実際にはちょっとどうなんだろうって・・・思っちゃいますもんね、正直(^^;

でも・・・だからこそ、せめてドラマの中では大団円を願うのですよ。
そういう意味では、ラストシーンで所長が施錠されたタイヨウの扉を開ける寸前で終わる演出は、実に秀逸だったと思います。

そうそう、このドラマ“ミライ君@五十嵐隼士”とか“ぼっちゃま@山本裕典”の他、“ゲキブルー@高木万平&心平兄弟”とか、なにげに“特撮ヘルパー”だったのもツボ(笑)
後、結構忘れられてますが“堤チーフ@ 宇梶剛士”さんにも突っ込んであげてください!(^^;

それと、晴菜ちゃんを演じた仲里依紗ちゃんは「メビウス」で、ミライ君を変質者呼ばわりする女子高生役でゲスト出演してますので、ここもやっぱポイントですね!(^^)


救命病棟24時
このドラマは第1シーズンから凄く好きで、今期のドラマの中でも実は一番楽しみにしていました。
しかし、御存知のように主演の江口洋介の事故により番組スタートが遅れ、本来全11話程はあったと思われるものが、全7話になってしまった分非常に“詰め込んだ”というか、端折った印象の物になってしまったのは、不可抗力とは言えちょっと残念でした(明らかに本来別々のエピソードだったのを1本に纏めたと思われる物もあった)

とは言え、改正医療法の影響で起きる“医療現場の崩壊”という今シリーズのテーマを、真摯に描こうとしていたのは評価できると思います。

このドラマは本来(少なくとも第1シーズンの段階では)神業的な腕を持つ・・・いわゆる“スーパードクター”が、その腕と熱意で医療現場に一陣の風を吹かせ、患者の命や現場の抱える問題等を解決して行くという、医療ドラマとしてはもっとも王道を行くタイプのものでした。

しかし本シリーズにおいては、その主人公の進藤先生の“在り方”を真向否定する事が、ひとつテーマになってました。
進藤と対立するキャラクターとして登場する澤井は、現在の医療の現場で起きてる様々な問題は、熱意や奇麗事では解決できない、むしろ進藤のやり方は現場の人間を困憊させ、救命医療の崩壊を加速させるだけだと言い放ち、現場の処理能力の許容を越える数の患者の受け入の拒否も厭わない姿勢を見せます。

これまでのシリーズなら、そういった状況も信念と理念で貫き、結果的にいい方向に転がっていくというのがこのドラマのスタンスでしたが、今シリーズでは時に澤井の言い分の方が正しく感じるのは、改正医療法による医療報酬の削減や労働条件の過酷化、多発する医療裁判やモンスターペイシェント、マスコミの医療批判等々の様々な要因が、現場を混乱させ医師の精神や健康、生活や人生までも蝕んでいるという、現在の医療現場を取り巻く深刻窮まりない状況を先ず解決し、医師が皆安心して働ける環境を整える事が、結果的に多くの患者を守る事になるという澤井の論理が、現実の医療問題を背景に描かれているため、奇麗事や精神論では済まないと言う部分に説得力を持っているから。

だからと言って・・・

命の危険に晒されてる患者を、病院や医師側の都合で拒否してもいいのか?
どんな状況でも、全力で患者と向き合うのが医師の仕事じゃないのか?
助けられる命を見捨てるのは犯罪だ!
医師の正義を真向から問う進藤の言葉もまた正論だし、何よりもそれはこのドラマが全シリーズを一貫して描いてきた事。
どちらが正しいとか間違ってるではなく、どちらも正しいというのが、今シリーズの大きなポイントなんですな。

また、澤井の様なキャラクラーは、こういう医療ドラマでは常に私利私欲に支配されたヒール的に描かれてましたが、澤井の本心は進藤と根を同じとする物で、考え方や方向性は違えど、救命医療の行く末や、どうやれば多くの患者を救えるのかを真剣に考えているという意味では進藤と同じ、表裏一体の人物として描かれていたのも大きな特徴でした。

最後は澤井は政治の世界に入り制度や法律を変えて行く事で、進藤は現場で戦い続ける事で理想を実現しようとするところで終わりますが、その道の嶮しさを思わせつつ、希望を感じさせるエンディングだったのは、やはり「救命病棟24時」らしいもののだったと思います。

本来は、進藤と澤井の“理想VS現実”の切磋琢磨を通して、現在の医療制度や法律と、医療現場との温度差や矛盾を深く問いかける狙いがあったのでしょうが、それを思えば番組の実質上の短縮は惜しかったな(^^;
最近のドラマは、決められたクール内で収めなければならず、余程の事がない限り期間の延長とかが無いから、結果的に描ききれなかったのは残念でした。

あと、もう1人の主人公である小島楓が、精神面に置いてはある意味進藤を越えたように描かれていて、そういう“師匠越え”の様なものも、テーマのひとつになっていたようです(腹を括った女は強いって事でもあるんですが(^^;)


さて、今期のこれらのドラマに共通して言えるのは、実際の制度や法律、現実に起きてる様々な問題を背景に取り入れ、それに問いかける社会派のドラマとして仕上がっている事。
ドラマでこういう事を訴えていく事は有意義な事だとは思うし、事実私もそういう願いを込めながらこういうドラマを観ていました。

けど本当の事を言えば、こんな事をテーマにしたドラマが立て続けに作られる様な世の中の方が実はおかしいのですよね。
もっと、ややこしい事や面倒臭いテーマなんか無関係な、頭カラッポにして楽しめるアホみたいなドラマが沢山作られる世の中の方が、本当は幸せなのかも知れませんね。
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by yaskazu | 2009-10-06 23:49 | ドラマ | Trackback | Comments(0)
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